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いつでも腐女子日和

腐女子な管理人が送る、腐女子発言多々の日々のつれづれ。

頑張ったぞ

脳年齢を歳相応まで引き下げました、こんばんは!

しかしこの偶然出来た二連休、結構ダラダラ過ごした感が否めないのですが……、まあたまにはいいか(たまにはか?)。

思っていたよりも何も進んでないのが、ははっ、痛いところです。
そして、新刊の見直ししていたのですが、重大なことに気付いた!

タイトル決めてなかった(決められない)!!

今回も難産の予感がする。
う~ん、またおかしなタイトルがつきそうです。
あとがきで解説する羽目になりそうだ。

えー、ひとまず明日から恐怖の五連勤です。
出張(最初、出頭って打ってウケた)やら面接補佐官とか、
通常業務以外の仕事が挟まっていて、休み明けまでが遠く感じますが、
その後はまたしても二連休だし、それを励みに頑張る!
あ、そういえばその二連休間、曹操さまの命日入りますが、小話UPする予定です。
追悼記念(てか、こういう場合記念なのだろうか)。
それがようやくまともなサイト更新となりそうです。

では、仕事三昧になる前に、お題を一つUPしておきます。
またあんまりラブラブしていない、嘘んこ女性向け、
司馬懿×曹丕です。
昨日の日記でも書いたのですが、オリジナル、ということでひとつよろしくです。






   「ちらりと見えた素肌」



 鋭い、気迫の籠もった掛け声が飛び交っていた。
(やっておられるな)
 司馬懿は小さく微笑んで、鍛錬場へ急いだ。
 広大な城内には、兵たち――といっても主に将が付く者たちのためだが――が己の武を高めるために造られた鍛錬場がある。
 彼、司馬懿の探している相手も、今日はそこで己を鍛えているはずだった。
 幼い頃より武技(ぶぎ)は目を見張るものだった、と聞き及んでいる。六歳で弓術を極め、八歳で騎乗したまま弓が放てたほどだ、という。
 それからも決して鍛錬を怠ることなく、剣術をはじめとするあらゆる武術を極めんとする勢いだ。
(そのうち私など、少し機嫌を損ねたら勢いで殺されかねんな)
 などと半分冗談にもならないことを思いながら、司馬懿は鍛錬場の中でもことさら熱気の籠もっている広場へ顔を出した。
「……っ」
 途端、息の詰まるような空気が司馬懿を包み、そこに棒立ちになった。戦場に立つ機会や、立ち合いなど経験したことのない司馬懿は、その張り詰めた空気の正体を感じ取り言葉にすることは難しかった。
 あえて近い感覚で言うなら、一杯に張られた琴の絃、とでもいうか。爪弾いた瞬間に弛みのなさ過ぎるそれは、弾け切れ、伸ばした指をあっさりと切り裂こうとする。
 そんな空気だった。
 気付けば、先ほどまで盛んに聞こえていた掛け声も消え失せ、広場の中央には司馬懿の探している相手と、向かい合っている男が黙して立っているだけだった。
 いや、黙して立っているだけ、というのは正しくない。互いに隙を窺っているのだ。相手を屈服させるための隙を鋭い眼光の下探している。二人は互いに空手ではあったが、司馬懿の目には真剣の光が映っていた。
 じわり、と脇の下に嫌な汗が滲む。
 恐らくは模擬戦、稽古の一種であろうが、そこに漂うのは相手をしとめんとする確固たる意志と、それを実現できるだけの技を備えた体躯であるのだ。
 司馬懿の体内で脈打つ心臓の音でさえ、この極限の緊張状態を刺激しそうで、瞬きすら恐ろしくて上手く出来ない。
 手に抱えていた包みに力が籠もり、かちゃかちゃ、と中身がぶつかり思わぬほどの大きな音を立てた。
 一瞬、それこそ司馬懿には瞬きにも満たない刹那、探していた男の目がこちらを見た。ああ、と男の目が和らいだ、と司馬懿が認識する前に、相対していた男が動いた。
「そ……っ」
 思わず男の名を口にしようとしたが、それよりも男の反応が早かった。突進してきた男の手刀を上体を逸らしてかわした、と思えば、逸れた上体を利用して風を切りながらの蹴りを放った。
 しかしそれは難なく相手にかわされ、体を支えている軸足を払われ、床に転がされた。すかさず相手の男は咽元に手刀を翳し、勝負が決まった。
 知らずに、司馬懿の口から安堵のため息がこぼれた。
 勝負には負けたが、男が怪我をしなかったので安心したからだ。
 しかし、男はそうは思わなかったようだ。盛大に舌打ちをしたのがこちらにも聞こえてきた。
「ははっ、油断されましたな。試合中に余所見とは、貴方らしくもない」
 倒れた男を起こすため、相手の男は手を差し伸べた。
「いらん」
 それをあっさりと払い、男はむっつりとした顔のまま立ち上がった。おや、と相手の男は肩を竦めたが、気分を害した様子もなく、その口元は微笑んでいる。
「負けたことがよほど悔しいのか、それとも、師の前で倒されたのが恥ずかしいのか」
「儁乂!」
 男の鋭い眼光を浴びてもビクともしないのは、さすが韓信とも称された張コウである。
「曹中郎将、申し訳ありません、勝負の邪魔を致したようで。張将軍も、失礼を」
 慌てて司馬懿は二人に駆け寄り、謝罪する。
「いや、俺は気にしていないが、曹御息(おんそく)は」
「儁乂、仲達、私のことは子桓でよいと言っているだろう!」
 途端、不機嫌さを濃厚にした曹丕の声が二人を襲う。一様に首を竦めて見せるが、張コウは気にした風ではない。司馬懿も曹丕に叱咤されるのには慣れているせいか、嵐が去るのを待つ心積もりで相手をする。
(せっかくの役職がついたというのに、あまり嬉しそうではない。それに加えて御息が嫌いなのも相変わらずだ)
 曹丕ほど曹操の息子であることを意識している者はいないであろうに、なぜか曹操の息子、と呼ばれるのを極端に嫌う。
 天邪鬼なのだ、と片付けるにはその心境は複雑だろうが、付き合いの長くなってきた司馬懿にさえ、それは量れないところがあった。
「それに、儁乂、もう仲達は私の師ではなくなったのだ。恥に思うことは何もない」
 気まずいせいなのか、機嫌が悪いせいなのか、曹丕は冷たかった。そのまま背を向けて、今日はこれでしまいだ、と言って引き上げようとする。
(確かにもう貴方の教師としての任からは外れましたが……)
 不服に思う司馬懿の心が読まれたのか、張コウがやはり笑ったままその背中へ声をかける。
「あまり師をないがしろにするものではありませぬぞ。司馬侍郎が来られて嬉しかったのでしょう。素直におなりなさい」
「誰が!」
 即座に振り返ったのが良い証拠であろう。紅潮した頬は鍛錬を終えたばかりだからか、それとも照れているせいか。
 曹丕をあまり知らぬ人間は冷徹などと言うらしい。彼の父親でさえ、己の冷たい部分を色濃く受け継いだ息子をやや疎んじているところがある。しかし、長く傍にいて、曹丕の学での師である司馬懿や、戦での師である張コウからすれば、年下である少々生意気な青年でしかない。
 特にそれは張コウにいえることで、むしろ息子とすら見ているのかもしれない。もちろん、主君の息子である、という認識がないわけではないが、それ以上に曹丕を想っていることは確かだろう。
「おや、違いましたか。しかし、あの瞬間、貴方から溢れて突き刺さらんばかりだった殺気が消え失せたのですがね?」
 それは、司馬懿も感じていたし、何より曹丕自身が分かっていたことだろう。今度こそ本当に悔しそうに顔を歪ませて、足取りも荒く立ち去っていった。
「まだまだ青い。だが、ああいうところを見ると、安心するのはなぜだろうな」
 嬉しそうに顎鬚を撫でる張コウに、司馬懿も相槌を打つ。
「ええ、そうですね」
 普段の彼は常に、そう。先ほど二人の間を流れていた空気と同じ、張り詰められた絃のようだ。それとも、磨ぎ過ぎて握る柄すらない真剣か。
「役職が付いたとはいえ、中郎将と副丞相。太子としての地位は約束されておりません。子桓様が心の底から太子の座をお求めなのかは、私には分かりかねますが、不安定な状態が長く続くようでしたら、あの方の心はどんどん凍えかねません」
「……難しいことは俺には分からんし、殿のお考えも深すぎて読めん。だが、お前のような者が子桓様の傍にいるなら、大丈夫のような気がするがな」
 どん、と背中を叩かれる。あいたたっ、と悲鳴を上げてから、司馬懿はそれでも笑った。
「同じ言葉を、貴方にも返しますよ」
「ほ、そうか? だが、子桓様にとっては、俺よりはお前のほうが大事だろうさ。早く追いかけな」
 もう一度、さらに強く背中を押されて、司馬懿はつんのめるように歩き出す。少し振り返れば、もう張コウは広場から去るところだった。
(敵わないな、あの人には)
 幾多の修羅場を潜り抜けた将軍にとっては、司馬懿すらも息子のようなものなのかも知れない。
 建物に消えた曹丕を追いかけ、入ったであろう部屋の戸を叩く。返事があったので中に入れば、着替えている最中の曹丕がいた。
「失礼を!」
 慌てる司馬懿を他所に、曹丕は慣れた様子で襟元を寄せている。締められる襟元の最後の瞬間に覗けた胸元に、司馬懿の手から包みが落ちてしまう。
「何を慌てている。裸など幾らでも見せ合っているではないか」
 まだ機嫌が直らないのか、曹丕は剣呑な視線を投げかけるが、落ちてしまった包みを司馬懿よりも早く拾い上げた。
「なんだ、これは」
「それは、珍しい碁石が手に入ったので、子桓様に差し上げようと」
 焦って失態を見せてしまった己に恥じながら、司馬懿は説明した。
「それなら夜でも良かろう。わざわざこのような場所に持ってこなくとも。おかげで気が散り、儁乂に一敗を喫してしまった」
「申し訳ありません」
 急いで改めて謝ると、曹丕が軽くため息をついた。
「……いや、すまん。今のは八つ当たりだ。今日の勝負の敗因は私だ。お前の姿を見た途端、勝負を忘れた。敵を前にして意識を他へやるなど、まだまだだ」
 珍しくも自分の非を認めた曹丕に、司馬懿は驚きを隠せない。同時にどうしてそこまで己を追い詰めるのか、気になった。
「子桓様はもう充分に武技に長けていらっしゃるのに、まだ高みを目指すのですか?」
 どこまで行けば満足するのだろうか。
「父を越えられるまで」
 こぼれた呟きに、今までにない弱音が籠もっていた様な気がした。一見して強気な言葉に聞こえるそれに、諦めの色が滲んでいるような気がして、どきり、とした。
 ちらり、と見えた素肌の痕跡と同じように、はらり、と開いた胸襟に、それ以上のずきり、とした痛みを覚える。
 こうして己はどんどんとこの青年に囚われていくような気がする。
 目が離せなくなる。
 先ほどの立ち合いの最中、その場を一歩も動けなかったように、己はきっとこの男が死ぬまで囚われるのだ。
「子桓様は越えられるとお思いですか」
「……ふっ、お前は変わっているな。世辞でもここは、貴方様なら越えられますとも、と励ますところだろうが」
 少し可笑しそうにした後、曹丕はじっと司馬懿を見つめた。司馬懿の瞳に映る己の姿を通して、そこにある父の面影を追うように、じっと見つめてきた。
「越えられる。私はそう信じている」
「ならば、出来ましょう。出来ると信じている貴方を、私は信じておりますから」
 即座に司馬懿は答えた。
「そうか」
 嬉しそうに、曹丕は微笑んだ。歳相応の爽やかな笑みだ。その笑みが、静かに司馬懿へ寄ってくる。
「礼だ」
 取っておけ、と言って曹丕は司馬懿へ口吻を寄せる。
「何のでしょうか?」
 無粋だと分かっていたが、聞き返してみたくなって訊いてみた。案の定、曹丕の眉根が寄せられたが、鼻を鳴らした。
「碁石のだ」
(まだご覧になられていないのに、ですか?)
 鍛えられた、その肢体を腕の中へ招きながら、司馬懿はそれを受け止めて、くすり、と心の中で笑ったのだった。




*****

はい、そうです。無双ベースではない、と言い切れる要因、張コウです。
あえて近いベースを探すなら、蒼天に近いのか。
北方三国志を読んでから、私の中では張コウは曹丕の戦場でのお師匠さん、ということになっております。

しかしこの司馬懿、面白いかも。癖になりそうです。ちなみに、蒼天の司馬懿も大好きです。

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