忍者ブログ

いつでも腐女子日和

腐女子な管理人が送る、腐女子発言多々の日々のつれづれ。

よ、よしキタコレ……?

なんか、アンソロにこんな長さを書いていいのか、というぐらい
長くなってきた原稿……。目標の2月中に終わらせる、は見えてきたけども、
さて、どうしたものか、と悩みつつ。
今からでトリビア見るかどうしようか迷いつつ。

お題を投下しておきます。
今回は、私にとってはこの人聖域で、
かけるの関係には持って行きたくなかったのですが、書いちゃったvv
楽しかった(笑)。ちなみに、見る読む分には別に聖域じゃないんです、
とだけ言っておいて、誰か馬超×張飛って書いてくれないか。

というわけで、今回、いつも長男と次男ばっかり仲良くさせてらんねえぜ、ということで。

「微エロ10のお題」 張飛×劉備です。


   「まるで花弁のように」



 血飛沫が白い花へと降り注いだ。それはまさに血の雨に等しい。刃が咆哮を上げるたびに、白から赤へと花は色を変えていく。
 無性に悲しくなった。自分には花を愛でる風情など持ち合わせていなかったはずなのに、それが無性に悲しくて――そして怖かった。
 どさり、とまた生ある者の息吹が絶え、死へと色を変化させながら、いつか還るであろう大地へと身を落として行く。
 吼えた。相棒の蛇矛と共に咆哮を上げ、張飛は闇雲に戦場を駆け巡った。翼徳、自重しろ、と関羽の声が響いたが、足は止まらなかった。
 どれほど斬っただろうか。劉備と関羽と共に旅立つときに仕立ててもらった蛇矛、名も無き刀鍛冶が作った一品にしては、張飛が手入れをきちんとしているせいか、錆びることもなく相棒として充分な働きをしてくれている。
 柄を握り直し、血で塗れていることに気付いた。もう、あらかた戦況は落ち着いたようだった。遠くで隊列を整える声や、負傷者を運べと指示する声々が耳に届いた。すとん、と近くの石に腰を下ろし、蛇矛を肩にかけて柄から手を離す。
 掌は真っ赤に染まっていた。近くに小川の流れる音がする。汚れた手を洗い流そうと腰を下ろしたばかりの石から立ち上がり、川へ向かう。ざぶり、と浸けた手からはすっかり固まったため中々血は流れ落ちない。
 普段は大して気にかからず、衣の裾などに擦り付けて終わりのそれが、張飛の神経を逆撫でする。苛立って躍起になって洗っていたため、近付いてきた気配に一瞬反応が遅れた。
「――っ」
 脇にあった蛇矛を引っ掴み、そっと近付いてきた怪しい人影へと刃先を突き付け、一息に貫こうとして、辛うじて踏み止まった。
「……兄者」
 目を丸くして、眼前へと迫った蛇のようにくねった刃先を見つめている劉備に、張飛は安堵の息と共に言葉を発した。
「黙って近付くなよ、敵兵の残りかと思うだろう」
「すまんすまん。しかしお前の帰りが遅いから心配になってな。雲長に聞いたら一人で深く切り込んでいった、と言っていたし」
 驚きから冷めた劉備が謝りながらも笑った。張飛の無事を確かめて安心したのだろう。
「俺が簡単にやられると思ってんのか?」
「いや、そうではないが、万が一ということもある」
「それより、俺は兄者が心配だ」
「……ああ、そうだなぁ。私はお前や雲長ほど強くない」
 悔しそうに、寂しそうに笑った劉備の顔に、張飛は急いで首を横へ振った。
「そういう意味じゃねえよ、俺はただ兄者が心配ってだけで、弱いことを責めてるわけじゃなくて」
 弱い、と言ってしまった途端に、劉備の面容は苦笑に彩られた。また、失言だ。とにかく違うからな、と叫んで、気まずくなってまた川で手を洗い始める。劉備が隣へ並ぶ。ちらっと見やると、張飛の言葉を気にした様子はない。
「今回も、翼徳に頑張ってもらったようだ」
 にこり、と笑った顔に心臓が跳ねた。別に……と素っ気無く答える。
「自慢の蛇矛も汚れてしまったな。良く、手入れをしてやらねば……」
 言いながら、劉備は張飛の脇に再び置かれた蛇矛の柄に手を伸ばした。かあっと頭に血が上った。
「触んな!」
 蛇矛に伸ばされていた劉備の手を思い切り払った。ぱんっ――と鋭い音が辺りに響いた。張飛の加減を知らない力で叩かれた劉備の手の甲は、見る見るうちに赤味を増していった。呆然と張飛を見つめる劉備と、咄嗟の事とはいえ劉備を叩いてしまい青褪めた張飛の視線がぶつかる。
「すまん、蛇矛はお前の大事な相棒だった。武人の魂に不用意に触れてしまってはいかんな」
 赤くなった手を張飛の目から隠すようにしながら、悪かった、と謝る劉備は笑顔を取り戻したが、視線がぶつかった瞬間に過ぎった感情は、拒絶されたゆえの悲しみだった。
 白い劉備の手の甲にくっきりと浮かんだ赤味は、まるで血で染まってしまった白い花の花弁のようで、ずきり、と張飛の胸に痛みを走らせた。そうじゃ、そうじゃないんだ、と搾り出すように声を漏らす。
 劉備が問うように小首を傾げた。
「兄者がそんな汚れた物に触れなくていいんだ。汚れるのは俺だけでいい、俺と蛇矛だけでいい、触んな。兄者はそのままで居て欲しい……」
 白い花が赤く染まるのを見たくない。染まってそれが当たり前だと受け止めて枯れて欲しくない。劉備は劉備のままで居て欲しい。
「翼徳……」
 抱き締められた。温かくて大きな存在に包まれる心地だ。劉備は関羽や張飛に比べてしまえば小さい、と言い切れるほどなのに、こうして時々抱き締められると大きく思える。その心地良さに身を委ねかけたが、我に返ってもがいた。
「駄目だ、駄目だ兄者。俺、いま汚いから、離れろって」
 返り血に染まった自分の体に触れてしまえば、劉備も汚くなってしまう。引き剥がそうとするが、先ほど叩いてしまった手のことを思い、力が込められない。
「翼徳! 寂しいことを言うな!! 私たちは兄弟の契りを結んだのだ。私だけが戦わない、汚れない所にいるなどと、仲間外れにするな、阿呆!」
 蹲っていた張飛の頭上から、劉備の怒鳴る声が降ってくる。それからなぜか雨も降っていないのに、水滴も一緒だ。慌てて劉備の腕の隙間から仰向けば、張飛に何を言われても何をされても笑顔だった兄が泣いているではないか。
「兄者!」
「阿呆、見るな!」
 涙声で叱られて、劉備の片手が伸びてきて張飛の瞼を覆ってしまう。
「私は怒っているのだ、泣いてない!」
「……悪かった。俺が悪かったから、泣くなよ」
「さっき言ったことを訂正しろ」
「する」
「私にも雲長や翼徳が背負うべき重荷を背負わせろ」
「……」
「返事」
「ああ、分かった!」
 やけくそ気味に吼えた。
「じゃあ、ここに口を寄せろ」
「はいはい……って、そこ唇だろ! なに考えてんだ!」
「しなきゃ許さないからな。雲長に言いつけるからな。翼徳が私を泣かした、と知れれば雲長はどうするだろうなあ。まずは一晩中説教だろう。そのあと一日か二日は飯抜きかも知れないな」
「ひでえ、兄者」
「翼徳は、したくないのか」
「何でそうなる」
「だって、私はしたいぞ?」
 瞼を覆っていた手をどかすと、にっこりと、劉備に笑顔が咲いていた。また、張飛の心臓は跳ねる。
「……俺も」
 言って、張飛は劉備の唇に唇を重ねた。



 終






書いてびっくりの、私の書く劉備受けの相手中一番、きゃっきゃうふふ、な
バカップルになりました(笑)。
張飛が可愛過ぎるのがいけないんだと思うんだ。
あいつ三国一の可愛い男だと、私は真顔で告げておきます。

拍手[7回]

PR

コメント

コメントを書く

お名前:
タイトル:
文字色:
メールアドレス:
URL:
コメント:
パスワード:   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

リンク

最新記事

カテゴリー

ブログ内検索

アーカイブ

フリーエリア