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いつでも腐女子日和

腐女子な管理人が送る、腐女子発言多々の日々のつれづれ。

青息吐息

しながらも、どうにか八割がた復活してきた模様です。
夏風邪だったのですかね~。しつこいです。治りかけが大事、ということで、ここもちょっと調子が良い今のうちにちょろっと。
日参サイトさまへもまだ顔を出せていないのですが、そのうちにこそこそまた通い始めます。

寝込んでいた間、ひたすら漫画を読んでました。おかげでだいぶ減らすことができました。そして、なぜか突然にスラムダンク熱が戻ってきまして、これどうしてなのか自分でもさっぱり分からないのですが。
たまっていた漫画を消化したら、久しぶりに読み返してみようかな、と思っております。
ちなみに、この世界へ足を踏み入れたきっかけでもある漫画です(笑)。そして仙道スキーでしたv 今振り返ると、どうして仙道だったのか不思議でならないのですが(今でも好きですが)、恐らく今の私だったら違う人物に転がっていたと思います(確立が高いのが牧か、田岡監督、もしくはゴリとか)。

さてさて、ついでにお題もこなしてみます。
お題も残り今回をあわせて三つとなりました。今回は私のもっとも大好きな言葉ですが、う~ん、だからこそ難しい……。
あ、今さらですけどこのお題健全ですから、安心してください(むしろがっかりの人が多いのか分かりませんが)。







 「下克上」


 憂鬱だ。
 しとしとと音も無しに降り続く雨を横目に見て、曹操はこめかみを揉む。
 雨は頭痛をひどくする。じくじくと鈍痛を訴える頭を抱えて執務を行うのはいつもの何倍も苦労する。
 それでも実は、曹操は雨が嫌いではない。
 風情がある。
 雨が上がった後の生き物たちの清々しい姿もまた輝いていて好きだ。
 しかし、今日はいけない。
 頭痛もさることながら、約束があった。
 だがこの雨では延期にせざるを得ない。それが憂鬱だ。
 楽しみにこの日を待っていた。それは自分もだが、それ以上に相手もであることを、曹操はよく知っていた。
 きっと、あからさまにがっかりと肩を落とすことはしないし、文句を付けることもない。残念だ、と口にすることもないかもしれない。
 普段はちょこちょこと口答えや軽口を叩くくせに、やっても良さそうな場面では決して我を通そうとしない。最後は曹操を想って行動を共にして、己を殺す。
 今回もきっと、そうした態度を取ってしまえば、曹操が引け目を感じるかもしれない、などと考えて、気にしていないという態度を取るに違いない。
 出会った頃や再会したときなど、むしろ嫌ってさえいた風なのに、何時の間にだろうか。
 筆を置いた。
 傍らで書簡が出来上がるのを待っていた文官に、出来上がったそれを放り投げ、曹操は衣の裾を翻す。
「ど、どちらへ?」
 あたふたした様子で、文官が行き先を訪ねてくる。
「ちょっと天の奴と勝負してくる」
「はっ?」
 顎が外れかけた間抜けな面をした文官を振り返ることなく、曹操はずんずんと回廊を歩き始める。後ろから衛兵が付いてきている気配がするので、振り返って追い払う。
「必要ない」
「しかし……」
 隊長格が反論しようとする。
「本日は許将軍が非番であります。なおのこと御身は……」
「その許チョのところへ行くのだ。問題あるか?」
「は、はぁ」
 再度拒絶をするが、衛兵たちは少し距離を取りつつ、その言葉の虚実を確かめるためか、離れようとしない。
 職務熱心なのは、上司(許チョ)の教育の賜物か。
 呆れつつうんざりしつつ、曹操は大股で許チョの屋敷へ向かう。そうして、屋敷の敷居を跨いだところで衛兵たちは納得したのか、ようやく一礼をして離れていった。
「おい、許チョ」
 軒先でぼんやりしていた許チョを見つけ、曹操は声をかける。そのぼんやりした様子のまま、許チョは曹操を捉えた。
「殿? どうしたんだ」
「どうした、じゃない。今日は約束していただろうが。釣りだ、釣り」
「だけど、この雨じゃ魚はかからねえぞ」
 予想通り、約束を違えることになるのに、許チョの口調に残念そうな調子は微塵も無かった。
「俺が雨ごときで諦めると思ったか?」
「お天道様には誰も勝てないぞ」
 淡々としている許チョの頬を、曹操は両手でむにっと掴んだ。
「ほ、ほの?(と、殿?)」
 頬の肉を引っ張られ、許チョの顔が面白く歪む。
「お前、俺の言ったこと覚えていないだろう」
「は、はにをだ?(な、何をだ?)」
「お前とこうしている時間が好きだ、と言っただろう」
 あれは馬超との戦のときだ。
 馬孟起という闘気に中てられた曹操が我を忘れた後、諌めるために許チョが聞いてきた。

『大事なものはなんだ』

 曹操の答えは、許チョといる時間だった。

「本気だったのか?」
 曹操が離した頬を撫でながら、許チョは聞き返す。
「俺はいつでも本気だ」
 するとなぜか許チョは口のなかで、あ~、とかむ~、とかもごもご唸ってから、こくん、と頷いた。
「じゃあ、行くか」
 ようやく許チョから色よい返事が貰え、曹操はにっと笑った。
 二人でがさごそと準備をしていると、いつの間にか雨が小降りになっている。
「ほらな、この曇り空なら魚の奴もかかりやすいだろう?」
 得意げになる曹操に、許チョは空を見上げる。
「殿は、お天道様にも勝っちまうのか」
「下克上成功、だな」
「なんだ、ゲコクジョウって」
「お前には縁がないことだ」
「そうか~」
「ほれほれ、急げ。釣り立ての焼き魚を食うぞ」
「もう生魚は御免だしな」
「その話はするな!」
 嫌なことを思い出した曹操は思い切り顔をしかめる。それを見た許チョは、大笑いする。

 天気は薄曇。しかし二人の心はいつでもお天道様が味方をしているようだ。



 おしまい



 ***

 一応、蒼天のつもりで。蒼天の二人、というか曹操さまと臣下たちは、主従というよりは仲間、家族という感覚に近いですね。なので下克上はお天気に対して行ってみました。


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