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いつでも腐女子日和

腐女子な管理人が送る、腐女子発言多々の日々のつれづれ。

ありがとうございました!

無事、イベント終了です。
これにて、11月の交地まではオフ活動はなしかな、という感じです。う~ん、でも気まぐれを起こして9月の地元イベントに出るかな? とにかくそんな感じです。

今回、スペースへお立ち寄りの方や、話しかけてくれた方、そして本を買ってくださった方、本当にありがとうござます!

さすが夏休み、ということもあり、いつもより賑やかで、レイヤーさんもすごく多くて。OROCHIをやり始めたおかげで戦国キャラも分かるようになって、三成くんがたくさんいて眼福でした。やはり三国、戦国はレイヤーさんのレベルが高くて安心して眺めていられます。

無双スペースも前回が私を含めて2サークルだったのに、ぐっと増えていて、それが何より嬉しかったですねv そして夏コミカタログが売り出されていたので、買ってさっそく無双スペースのチェックをしましたところ、少なくなってる~~(涙)。でも、その分端から端まで買う、という芸当もしやすい、ということで(て、しませんけど)。
冬コミはきっと盛り返すに違いない、と信じています!

さて、イベントも楽しかったせいか気力も充分。ついに最後のお題へと突入しますよ。また近日中にサイトへまとめてUPか、もしくは改装後か。ちょっと決めていませんが、とにかく最後のお題、どうぞ~。




  「自分にとっての『家族』ってやつ」



 桃色の霞が辺り一面に漂っている。仄かに香る甘い匂いが、劉備の鼻腔を優しく撫でた。目を僅かに上げれば、青い空と淡い桃色が重なり合うようにしてどこまでも広がっている。
 いつからここへ立っていたのか、劉備自身にも分からなかったが、幻惑的なこの風景はいくら眺めていても飽きることはなかった。

「あのときの桃と負けず劣らず綺麗だな」

 目の前で枝を垂れている低い桃の木へ指を伸ばして、その花弁を撫でると、しっとりと劉備の指を濡らした。
 ああ、と劉備はゆったりと唇を綻ばした。
 それからふとその感覚に違和感を覚える。
 なぜか、ひどく久しぶりにそんな顔をしたような気がした。

 ずっと、ずっと長い間、笑うことを忘れてしまっていたような、そんな気がしたのだ。

「あ~に~じゃ!」

 不意に後ろから張飛の声がして、背中から抱きつかれて劉備は踏鞴を踏んだ。

「翼徳! いきなり抱きつくなど。私を潰す気か!」
「何だよ、いいじゃん。ずっと待ってたんだからさ。俺、兄者に会えて嬉しかったんだぜ? それに、俺が本気で向かっていったら、兄者は今頃本当に潰れていたんだから、ちゃあんと手加減済みだって」

 のしっと背中に感じる重みは、確かに苦しいが久しくなかった感覚だ。ぐりぐりと押し付けられるごわついた張飛の虎髯がくすぐったいような痛いような。

「分かった分かった。だが重いものは重い。離れてくれ」

 苦笑しながら訴えると、張飛はわりぃ、と謝りながら、それでも反省した様子もなく、笑いながら劉備を解放した。

「ところで、ここはどこだ?」
「分かんねぇ。俺も気が付いたらここにいてさ……あ、そうそう。雲長の兄者が向こうで待ってるぜ。なんか知らねぇけどさ、随分と待たされたって言ってる」
「雲長が?」

 なぜかその名を口にした途端、劉備の胸が熱くなる。どうしてだろうか、劉備も長い間関羽と離れていたような気がした。忘れたことなど一度もなかったのに、ずっとその存在を傍に感じていたのに、無性に懐かしかった。

「行くか?」
「もちろんだ」

 劉備は張飛の示す方へ駆け出していく。桃色の霞は気が付くと消えており、ただただ連なる桃の木が劉備の視界一杯に広がっている。
 その中に、見慣れた後ろ姿を見つけて、劉備は声を張り上げた。

「雲長~~!」
「兄者!」

 振り返った関羽は、嬉しそうに笑っている。その顔を飾っている美しい髯も、別れたときと変わらずにそこで靡いていた。
 劉備は足を緩めずに関羽へ駆け寄り、その体に飛び付いた。

「ははっ、兄者。いくら拙者が丈夫でも、加減はしてくだされ」

 全力で飛び掛った劉備を、それでも関羽は軽々と受け止めて包み込んだ。

「雲長の兄者は相変わらず兄者には甘いよな。俺がそれをやったら滅茶苦茶怒ったくせによ」

 追い付いた張飛が唇を尖らした。

「お前の体格であんなことをされては、叱りたくもなる。本当に死ぬところだ」
「いいじゃん、どうせもうそんな心配はないんだし」
「そうか、やはりここはそういうところか」

 張飛の言葉で、薄々とそうではないか、と思っていた劉備は呟いた。

「はい。ですけど、拙者は兄者と翼徳が来るまで待っておりました。そういう約束でしたから」
「そうだったな」


『我ら、生まれた年、生まれた月、生まれた日は違えども、死するときは同じ年、同じ月、同じ日であらんことを。この誓い、この世が糾されるその日まで、守られんことを……!』


 忘れたことなどなかった。特にこの桃が咲き誇る季節になれば、鮮明に蘇る、あの日のこと。

「今度は、さ。本当の兄弟で生まれたいな。そんで、今よりもっと平和な世の中だといいよな」

 ぽつり、と張飛が呟くと、関羽は目を閉じて黙って髯を撫でた。

 誓いは果たされなかった。まだ、恐らく世は乱れ続けるだろう。『最後』に見た諸葛亮の顔が劉備の脳裏を過ぎる。

 苦事(くじ)を残していくことを謝りはしない、と決めた。彼は彼の意思で劉備の遺志を引き継いだのだから、きっと蜀を守り続け、天の統一に心血を注ぐだろう。そうして、またその遺志は誰かに引き継がれ……。

「翼徳、私は別に血が繋がっていなくとも良いと思う。人と人を繋げるのは血ではない。志だ。私たちがそうだったように、兄弟とは、家族とは血で繋がっているわけではない。相手を想い、そして想われる、その意思、志で出来上がっていく。たとえ血が繋がっていようとも、その想いを忘れてしまったら、それは家族でも何でもない」

 引き継がれていく想いこそが、長い長い血脈を生み、後世に繋がるのだ。もしかして蜀はなくなるかもしれない。いや、蜀だけでなく呉や魏もなくなるかもしれない。全く新しい国が出来、そしてまたそれもいつかなくなり……。
 しかしそこに生きた人々だけは、人々の想いだけはきっといつまでも語られる。何十年、何百年、何千年経ったとしても、人の中で生き続ける。

「それが、私にとって家族というものだ。だからな、私はお前たちを本当の兄弟だと思っている。いや、それに疑いを持ったことなどない」

『兄者』

 二人の声が重なる。

「新たに誓う。我ら、生まれた時違い、死するときも違えども、志だけは同じとする。再び会えた、そのときも、この誓いが守られんことを」

 劉備の言葉を二人が復唱をする。
 
 いつの間にか三人の手にはあの日の杯が握られて、桃色の空へと掲げられ……。

 三人はその杯を揃って飲み干した。



 おしまい



 ***

 ここまでありがとうございました。最後はちょっとありがちなネタでしたかね? くさいけれども、どうかお許しを……!

 そして裏話。今回のお題はお題のお題、がありまして。要は自分に課したお題の中のルール、という奴です。
 お題1~6は、誰かがした動作を、次のお題で誰かがしている、というルール(例えば、1で張飛がくしゃみしたら、2で劉備がくしゃみをする)
 重ねてお題4~6は、劉備と張飛、劉備と関羽、関羽と張飛、というパターンで作り上げる。
 お題7~9は、もちろんそれぞれの一人称。
 最後、10で三人の最後の姿を描く、という決まりごとでした。
 そうしながらも、時を経過させると、いうかなり無茶なことをしておりました。

 ま、本当に裏話なので、読んだ方が楽しんでもらっていたならそれが何よりです。では、ありがとうございました!

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