忍者ブログ

いつでも腐女子日和

腐女子な管理人が送る、腐女子発言多々の日々のつれづれ。

涙腺って脆くなる

連続投稿~。
明日は、つーか今日は五時に起きて、長野へごー!
なのですが、ご覧の通りの時間です(笑)。
二時間睡眠です。
でも、親が運転だから、まあいいか。
いや、しかし自分でも行けるように道を覚えておきたいし……。
がんばって寝ないでいきたいです。

え? 行き先は……人形美術館です!
ええ、あの(笑)。(いくつかの)某所で話題になっている。
連れて行ってもらえることになったので、行ってきま~す。

そして、置き土産。お題の小話置いて行きます。

あ~、それにしても今日のドラマとアニメにはぼろぼろ泣かされました。
「もやしもん」以外。こっちは笑った。

ではどきりとする10のお題、トップバッターは、孫乾×伊籍です。
女性向けにつき、注意です!




   「儚い吐息」



 あれは、と孫乾は細めの目を少し見開いて、新野城の中庭に建っている東屋を見やった。
 もうすでに辺りは薄暗い。それでも孫乾には東屋で座り込んでいる人物が誰だか、すぐに分かった。
「伊籍殿?」
 すぐに回廊から庭へ下り、その人物へ歩み寄るとそう声をかけた。
 びくっと肩を揺らして、随分と驚いた様子で呼ばれた相手は振り返り、孫乾殿、と言葉をこぼすように呼び返してきた。
 それがひどく儚げで、孫乾の胸がずくり、と痛みを伴って疼いた。
「このようなところでどうしました?」
 すでに劉表の幕客から劉備の臣へと公認のようになりつつある伊籍だが、まだ劉備側に認められているだけで、劉表側へは公にしていない。だから、ここ新野において長居をしているのは不味いだろう。
 それは彼も充分理解しているだろうに、それでも日が暮れたこの時分までいる、というのはよほどのことだと、孫乾は推察した。
「いえ、ちょっと……」
 歯切れの悪い答えに、おや、と孫乾は胸の内で顔を曇らせるが、表面上はいつもの万人受けする笑みを浮かべていた。
「考え事ですか」
 これはますます何かありそうだ、と思い、本格的に話を聞こう、と孫乾は伊籍の隣へ腰を下ろす。
 するとなぜか伊籍は先ほどよりもさらに驚いたようで、身体をぴょん、と跳ねさせて縮まったはずの二人の距離を広げてしまった。
 おやおや、と今度は幾分苦労して、眉をひそめそうになるのを孫乾は堪えた。
 まずはやんわりと、尋ねてみた。
「大丈夫なのですか、劉(表)牧のほうは」
 ええ、まあ、とまたしても歯切れの悪い答えだ。しかも、視線はぼんやりと孫乾から逸れて軒先から見える紺色の空へ向けられている。
(これは駄目だ)
 作戦を変更することにした。
「貴方がそのようでは、非常に不安です」
 厳しい声を出す。途端、はっとしたように伊籍が孫乾を見つめた。
「貴方は殿と劉牧を繋ぐ、大切な架け橋の役を負っているのですよ? それを見越して殿も貴方を買っている。それなのに、そのように気の抜けた態度で、しかも劉牧に怪しまれるような状況を作ろうとしているなど。ましてや今は蔡(瑁)将軍が目を光らせている。出来るだけ不安要素は少なくしておきたいのです」
 みるみる伊籍の顔が引き締まる。普段はどれだけ人懐こくお人好しそうに見えても、才知溢れる男であることは誰もが認めている。先ほどの歯切れの悪さなど嘘のように、その舌は凛とした音を作り出す。
「申し訳ありません、孫乾殿。少し自身の内側に囚われていたようです。ご心配なさらずとも、私がここに留まっているのは、劉牧の命です。少し、劉備殿の様子を窺って来い、とのことでして」
 淀みなく答える様に、孫乾はほっとする。
「明日の夕刻まで滞在させてもらうことになっていますので、よろしくお願いします」
「分かりました。こちらこそ、少々厳しいことを申しました。では、もし良かったら貴方が囚われている、その身内のこと、お聞かせ願えませんか」
 目をゆっくりと細めて、笑んだ。見るものを安心させるような、孫乾の最大の持ち味である笑顔だ。
 引き締まっていた伊籍の表情が、稜線に消えた夕焼けの残り火でも宿ったかのように、赤く染まる。
「個人的なことですので……」
 はぐらかそうとする伊籍の、膝に置かれていた手をそっと握った。
「私にもですか、機伯殿?」
 貴方の想い人にも話せない、と?
「孫乾殿!」
 さらに顔を赤くするものの、叱責した伊籍は呼び方をまだ公のものにしている。どうやらなかなか難しい問題らしい。
 これは一端退くべきか、と思って握ったはずの手を離そうとするが、その上から伊籍の手が重ねられた。そのまま手に力が籠もり、ちょっとやそっとではびくともしないはずの孫乾の心臓が跳ねた。
「はぁ……、やはりおかしいのですよ、私は」
 さらには物憂げな、どうにも儚い吐息をされて、孫乾は年甲斐もなくどぎまぎした。それでもそこは孫乾の今までの経験がものを言う。平然として、しかし案じるように伊籍を窺った。
「……笑いませんか?」
 どうやら話す気になったのか、ちらり、とこちらを見やったので、孫乾は微笑んで頷いた。
「軽蔑しませんか?」
「ええ、大丈夫です」
 それでも、伊籍はだいぶ迷っていたようだが、一度きゅっと唇を引き結んでから、ゆっくりとほどいた。
「あれから……貴方と一晩を共にした夜から、おかしいのです。身体が熱を持つ。まるで若い頃の……いえ、若い頃でさえこのようになったことはあまりありませんでした。ですから、どうも落ち着かず、ぼんやりとしていたわけで」
「…………」
 何と言っていいのやら、孫乾は返事に窮していた。
 いや、正確に言うと嬉しさのあまり答えられないでいた、というべきだ。
(この人は、本当に困った人だ。自分の言った意味を良く理解していない)
 孫乾の胸だけでなく、身体まで疼かせるような言葉を己が吐いた、など気付いていないのではないか?
 小躍りしている自身の頭の中をどうにか宥めながら、孫乾はこの先の段取りを一気に組み立てていく。
(機伯殿が帰るのは明日の夕刻。時間はある。今、殿に命じられている案件は明日に回して、諸葛亮殿に頼まれた資料は明日の昼が締め切り……)
「公祐殿?」
 反応がないのが不安なのだろう。伊籍が握った手に力を込めた。
 まだまとまり切らない段取りだったが、孫乾はひとまず、もう片方の手をその上から重ねて、伊籍へと語りかける。
「それは由々しき状況です。先ほども申しましたが、貴方の存在は殿にとっては大切な役割を担っているものです。ですけど、それ以上の親しみを貴方に感じていらっしゃることも確かです」
 はい、と嬉しそうに伊籍は頷く。
「しかしそんな貴方が心を浮雲のようにさせている、などとあってはなりません。貴方の心を地へと留めるために、私は私に出来ることをいたします」
 黙って頷く伊籍の瞳が、今度こそ夕陽のもらい火をしたようで、ゆらっと揺らめいて、静かに伏せられた。
「公祐殿……」
 また、ゆっくりと吐息が漏れる。儚げなそれは孫乾の胸を甘く疼かせる。重ねていた手を自分へ引き寄せると、伊籍は大人しく従う。
 切ない嘆息をこぼす唇を自分のそれで塞いで、ようやく胸の疼きが少し収まった……。



***

ふた茶サイトでもアップしたいのですが、どうせならこの続き、ちょっと書いてみたくなりました。
書いてからむこうにUPしようかな~(あくまで希望)。

さわらさんから元ネタ頂戴しております。
ありがとうございます~。

拍手[0回]

PR

コメント

コメントを書く

お名前:
タイトル:
文字色:
メールアドレス:
URL:
コメント:
パスワード:   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

リンク

最新記事

カテゴリー

ブログ内検索

アーカイブ

フリーエリア