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いつでも腐女子日和

腐女子な管理人が送る、腐女子発言多々の日々のつれづれ。

陳宮と呂布 お題挑戦

というわけで、忘れないうちに最後のお題、投下です。

最後、創作三国志で陳宮と呂布の場合、です。
一応、創作ですが、無双陳宮の口癖、
大切なことなので二回言いました
が入ってないだけで、たぶん無双に近いと思います。

陳宮と呂布の関係って、
あらゆる媒体であらゆる描き方がされて、
ほぼ被っていない、というところを見ても、
やっぱり解釈はたくさんあるなあ、と実感します。
自分で今回、SS書いていただけでも、
あ、でもここでこう書いたら、こういう関係性で、
そうすると、きっと呂布はこうで、
とか数パターン思いつくほどでした。

劉備も曹操もそうだし、たぶん歴史上の人物全部に言えると思いますが、
我々は歴史の結果論であったり、残った資料や伝聞から人物像を
想像しているわけですけども、
いくらでも、結果論へたどり着くまで、その人物像が築かれるまで、
を創造できるわけですよ。

人の数だけ人物像、解釈が生まれるんだなあ、と久しぶりに実感しました。

さて、再び前置きが長くなりました。

最後のお題、陳宮と呂布の場合 です。
折り畳みよりどうぞ。

そして、反転でお題の大元と、そこから派生した自分ルールを書いておきます。
(以下反転)

「彼を支えるすべてで10のお題」
1・彼の行く道を照らす月でありたい(賈詡と張繍)創作
2・彼に笑顔を贈る花でありたい(曹操と親衛隊)創作
3・彼の心を潤す水でありたい(司馬懿と曹丕)無双
4・彼の迷いを断ち切る刃でありたい(趙雲と劉備)創作
5・彼を優しく包む闇でありたい(龐徳と馬岱)無双
6・彼の涙を隠す雨でありたい(徐庶と劉備・創作。徐庶と諸葛亮・無双)
7・彼が素顔でいられる場でありたい(馬岱と魏延)無双
8・彼の孤独を癒す音でありたい(曹操と袁紹)創作
9・彼にぬくもりを運ぶ風でありたい(劉禅と諸葛亮)創作
10・彼と共に歩める者でありたい(陳宮と呂布)創作・無双

で挑戦となりました。
大元の、彼を支える~で、中身を見たときに、切ない!
って感じたので、今回はハッピーエンド主義から離れて、
離別、死別、報われない話にしよう、と決めたわけです。
わりと、ずばっと終わらせることができて、
切ない系も面白いなあ、なんて思いました。
いい修行になりました。
(反転ここまで)

というわけで、ここまでお付き合いいただきまして、
ありがとうございました!
また暇ができたら、なにかやりたいと思います。
のちほど、サイトとピクシブにまとめてUPする予定です。






 「陳宮と呂布の場合」

 どのような暴れ馬だろうとも、私にかかれば静めてみせよう。
 いや、むしろ乱世を蹴破る力に変えることもできる。
 陳宮には自信があった。
 はじめ、その暴れ馬は本当に暴れ馬で、乗りこなす以前に鞍すら付けていない裸馬だった。
 この男ならば、と見定めたはずの男、曹孟徳は、どちらかといえば逆だった。陳宮が乗りこなす、乗りこなせない以前に、勝手に目標を定めて勝手に走っていく。
 馬ではない、と気付いたのは早かった。
 この男は、乗るほうだ。手綱を握る人種だ、と陳宮は見定めた。
 それでは陳宮の考えにそぐわない。一頭の馬に二人の主は不要だ。
 私は私の手で操りたいのだ。操り、天下を治める道をひた走りたい。
 それが出来る馬をずっと求めていた。
 そうして出会ったのが、その裸馬であるところの暴れ馬であり、呂奉先、という漢であった。
 曹操に反旗を翻すための、決定的な武力を求めていた陳宮の目に留まったのが、目的地を示す馬主を失った漢、呂布だ。養父とした男たちを次々に裏切り、赴くままに武を振るい、しかしその末路は惨めだった。
 疎まれ、追い出されるように長安を出奔。その後はあちこちを転々としている。
 誰も彼を乗りこなせなかったのだ。
 私なら、出来る。
 曹操のように自ら目的地を探せる男とは違う。ただ駆けること、暴れることしか能がないのならば、操ることなど造作もない。
 そうして、接触を計った呂布は、しかし陳宮の予想を裏切った。
 初めは簡単だった。
 拠り所は奪えばいい。曹操が留守にしている地をもらえばいい。貴方の武勇があれば容易い。
 そんな甘言に乗り、呂布は曹操のエン州を手に入れた。
 ところが問題はその後だった。
 裸馬は一向に鞍を付けさせてはくれず、鞍をようやく付けられたか、と思えば手綱を握る暇すらなく、勝手に走り出す。
 陳宮の進言など何一つ耳を貸さなかった。
 この男は――!
 と、今日も陳宮が制止するのも聞かず、一軍を率いて曹操とぶつかり、勝ったぞ、と笑いながら戻ってきた。
「ええ、そうですね、『貴方』は勝ちました。しかし、重要な拠点は奪われました」
 本来なら、呂布が留まり、拠点を守るために動ける状態であれば、阻止できたはずだ。だから陳宮は止めた。
「取られたのならば取り返せばいい」
 事も無げに暴れ馬は言う。
「それが出来たのならば苦労はしませんよ、呂布殿」
 苦々しさが口調に混じる。もうこの頃には、陳宮も忌憚なく呂布に意見をぶつけていたが、呂布が耳を傾ける素振りはない。
 そうしたすれ違いが何度か続けば、戦上手の曹操が優勢になるのは当たり前で、ついに、手に入れたはずの領地を捨て、再び呂布は放浪の身となった。
「こうなれば、一時袁術のところで体制を建て直し」
 と、陳宮は暴れ馬の手綱を何とか掴もうと提案する。ところが呂布は陳宮の声が聞こえなかったように、張遼や高順を呼びつけ、どこへ行くか相談を始めたではないか。
「呂布殿!」
 思わず叫んでいた。
 張遼や高順が驚いたようにこちらを見つめる。呂布だけが、ちらり、と視線を走らせただけで終わる。
「呂布殿には私の言葉が理解できぬのですか。それほどの知能しかお持ちでないのですか。ですから、人から利用されるばかりで、このように放浪が続くのです!」
 そうして口から迸った怒りは、今までの鬱憤を吐き出し終わるまで続き、息を切らして途切れたところで、呂布は立ち上がった。
 巨躯である呂布に見下ろされ、びくり、と身を竦める。
 ここで胴体と首がばっさり斬り落とされてもおかしくないほどだ、と憂さを晴らして冷静になった頭で理解し、青褪めた。
 しかし、やはり呂布は陳宮をまるで居ないものとして、くるり、と背を向け、野営の準備をしろ、と配下に指示を出し始めた。
 これ以上の侮辱はなかった。殺される恐怖も忘れ、もう一度、陳宮は叫んだ。
「呂布殿には、私の言葉は届かぬのか!」
 再び、これを無視されるようなことがあれば、見限るしかないだろう、と思った。
 呂布は、歩みを止めなかったが、言った。
「俺には、貴様の声は聞こえぬ」
「……っ、なぜ!」
 答えが返ったことに驚きつつ、その言葉に問い返した。
「俺には貴様が見えん」
「どういう意味ですか……」
 歩みをようやく止めた呂布が、配下たちの動きを見守りながら続けた。
「貴様はどこに居る」
「どこ、とは」
「貴様は俺の後ろに居ない。ましてや横にも居ない。俺には貴様の姿がまったく見えん」
「私はずっと貴方の隣にいたではありませんか」
「見えん。だから、貴様の言葉は俺には届かん」
「それは私を嫌ってのことですか」
「見えん者を嫌うことはできないな」
 まるで謎かけだ。
 私は、どこにいる――いや、どこにいた。
 私は――
 そうだ、私はずっとこの男の手綱を握ろうと、躍起になっていた。男をただ利用し、自分が駆けるための「道具」にしようとしていた。
 男のことを見ようとも、聞こうともしなかったのは、私だ。

 あの日のことを、今でも鮮明に思い出す。
 呂布という男は、自分を利用しようとする者に、もう嫌気がさしていたのだ。だから、陳宮の、自分の野望を叶えるための道具にしよう、という気持ちにも本能的に気付き、自分の背にばかり乗ろうとする自分を見えない、と遮断した。
 そして陳宮自身も、呂布を道具としてしか見ていなかったので、そのことに気付かなかった。
 そんなやり取りがあった後、少しずつだが、呂布との接し方を変えた。もちろんすぐに呂布の態度が変化することはなかったが、徐州を治めるようになった劉備の下へ逃げ込み、奪い、などするうちに、互いに言葉を交わす頻度は高くなった。
 時に呂布の暴走を叱り、時に陳宮の悩みを笑い飛ばし、二人の距離はいつの間にか近付いていた。


 そうだ、と陳宮はようやく思い至るのだ。
 私はこの男を操りたい、と思うことをあのとき止めた。
 そして、彼と共に歩める者でありたい。
 そう思い直したのだ。
 背に乗るのではなく、手綱を握るでもなく、隣でともに乱世を歩み、駆け抜けたい。
 そう、あのとき考え直したに違いない。
 だから、呂布は陳宮を見つけられるようになった。声が届くようになった。
 隣で歩く者に対して、呂布はきちんと視線を注ぎ、耳を傾ける男だったのだ。


 もう少し早く、そのことに気付いていれば、この結末は変えられていたのだろう。
 今になって、陳宮は悔やむ。
 隣で捕縛されている張遼と高順。そして、呂布がいる。もちろん、自分も縄を打たれている。
 曹操が、処罰を言い渡していた。
 陳宮の心は決まっている。
 もう、私が共に歩みたい、と思う者はこの男しかありえない。
 彼の早い歩みに必死で追いつこうと駆けていた日々が己のすべてだ。
 曹操が問いかけてきた。もう一度、わしの元で才を発揮せぬか、と実に彼らしい願いだ。
「貴方は、どこにいますか、曹操殿」
「……何を言っているのだ?」
「私には、もう貴方の姿が見えません。声も聞こえません」
 そんな謎かけに、しかし曹操は答えを見出したらしい。そうか、と悲しそうに、悔しそうに呟いた。
 だから、私は貴方を見限ったのですよ。
 私が長い月日を無駄にしてたどり着いた答えに、あっさりたどり着く貴方が恐ろしい。
 連れて行け、と曹操が命じた。
 呂布の前を通る。
 まだ貴方は諦めていないのですか。
 呂布の目に宿る強い光に思わず笑う。
 どうやら最期の最期まで、私と貴方は通じ合うまではいかなかったようだ。


 おかしいな。
 私の、貴方と共に歩める者でありたい。
 ただそれだけの願いさえも、貴方にかかると叶わない。
 生を諦めた私と、まだ諦めていない貴方と。
 まったく、貴方はいつまでも暴れ馬で、裸馬だ。


 陳宮は、首にかけられた縄の感触も忘れ、静かに笑った。


 終




どうして呂布は陳宮の言うこと聞かなかったのかなあ、
という解釈話でございました。

無双7の猛将伝で、お互いを良き相棒、と認め合うIFルートが、
二人には用意されていたわけですが、
実際は色々な歯車が狂って、曹操に敗れる、という結末になるわけです。
その歯車の狂い方って、色々あるよなあ、
といううちの一つです。

陳宮が何を思って曹操から離れ、
何を思って呂布とともに歩き、
何を思って乱世に飛び出したのか。
色々解釈あって可能性無限大ですし、
呂布も自分の歩いてきた道に対して、どう思い、
そしてどうしたかったのか。
こちらも解釈無限大、ですよね。

奥深いなあ、と今回初めて書いた組み合わせですが、思いました。


 

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