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いつでも腐女子日和

腐女子な管理人が送る、腐女子発言多々の日々のつれづれ。

雪の話題にも

……もうぼく、疲れたよ、パトラッシュ。

またしても窓の外で積もっている雪はもう飽きた!
また今週どこかで降るらしい、とお天気のお姉さんが言っているが、
ああ、降るがいいさ、とヤケクソ気味です。

というわけで、お題小話書いてました。
無事、できました。初書き~~。

馬超×劉備です。
うわ~、先駆者多いのですよ、このカップリング。
みんな好きサークル&サイトさまばかりなのですよ。
馬超って男をよく掴んでいない私が書いていいのか、と思いつつ、
まあ書いたものはしょうがない(←?)。
とりあえず、史実設定です。
馬超は完全にオリジナル解釈です。
よろしかったらどうぞ。

お題「微エロ10のお題」


 馬超×劉備「視線に犯される」



 気品のある佇まいだ。
 軍の演習、先頭で声を張り上げ、鐘叩きの兵に休ませる暇もなく指示を与えている。すなわち、鐘の響きで動きを変化させる兵卒達も同じく、足を止める間も無く隊列を変化させている、ということだ。しかも彼の軍は騎馬隊だ。人馬の息が合っていなければ成し遂げられない。
 隊の一角が僅かに遅れた。寸刻空けずに指揮する男の怒声が響く。
 死にたいのか、と。
 そんな苛烈で荒っぽい雰囲気の中の先頭にいる、というのに、男の背は真っ直ぐ伸び、馬に跨る姿は凛々しく、気品が漂っていた。
 父親、弟達だけでなく、一族全てを喪った。住み慣れた土地を追い出され、失意のうちにただただ逃げてきた男だった。
 そんな男の存在を知り、劉備は使者を男の下へ放った。男は使者の言葉に耳を傾け、自分の下を訪れてくれた。長い放浪だったはずだ。逃げ込んだ先は次々と奪われ、居場所を失い流れてきた果てのことだったはずだ。
 しかし、自分を見つめてくる男の目は力強い光を灯し、拱手した姿は気品があった。
「貴殿が劉玄徳殿……でよろしいか」
 二人きりで会いたい、と我が侭を言って、劉備は男と対面を果たしていた。響いた声は良く通り、上に立つ者が持つ気迫が篭もっている。頷くと、男の二つ名である錦の兜を取り去り、口許を小さく綻ばせた。
「想像通りの方だ。申し遅れた。私は馬壽成(じゅせい)が息子、馬孟起だ」
 さすがに頬はこけ、疲労や戦場での残り香を漂わせる面容だったが、微かに笑った顔は男の生来の朗らかさを滲ませていた。
「改めて、劉玄徳だ」
 名乗られて、ようやく劉備は我に返った。向こうは劉備を想像通りだ、と評したが、劉備は馬超のもっと、違う姿を想像していた。一人の男への憎しみを糧に生き延びてきた、荒々しい苛烈な雰囲気を纏っているのでは、と考えていた。
 今や中原を完全に掌握している曹操に刃を向けようとする者は少ない。しかしその男ならば、父や弟達、一族を滅ぼした憎い曹操へ共に刃を向けてくれるだろう。曹操への憎しみを上手く軍内に取り入れ、成都攻略、その後に行う中原への遠征に繋げる刺激になるはず、と馬超を迎え入れるに当たって、意見は一致していた。
 劉備を除いては……。
 憎しみだけで生きている男ならば、要らない。そう思っていた。
「一つ、訊いてもよろしいか。馬超殿は、曹操のことをどう思っている」
 自分より十以上は若いはずの男へ、劉備は丁寧に接した。この答えいかんによっては、馬超への待遇を変えなくてはならない。
「戒め、でしょうな」
「戒め……」
 馬超の目に灯る強い光が、突然に燃え上がった炎のように揺らめいた。幾多の修羅場を潜り抜けた劉備でさえ、一瞬ばかり身を引きそうになるほどの、苛烈な輝きだった。
「後先を考えずに、あの男へ挑んだ己の稚拙さ、迂闊さ。数度に渡る敗戦の苦渋。私は私に腹を立てている。愚かな己を忘れないための戒め。曹孟徳を倒さない限り、俺は前へ進めない」
 だから、曹操は戒めの存在。
 劉備は目を瞑り、息を吐いた。
 目を開いて、微笑んだ。
「孟起、と呼んでも良いか」
 はい、と答えた馬超の目はまた、ただ強い光が灯るだけになっていた。
「私にとっても、曹操は戒めだ」
 幾度も挑んでは破れた男で、同じ天を懐(いだ)けない男で、劉備が志を決して忘れないための、戒め。
「私のところで、前に歩んでいかないか」
 頷き、拱手した馬超の頬は濡れていた。ようやく、翼を休ませる枝が現れたことへの安堵と、想いを同じくする者が居た、という喜びに体は震えていた。濡れた頬のまま顔を上げて、それでもまだ気品を失わない男を、劉備はそっと抱き締めた。
 軍の先頭に立っている馬超が、こちらに気付いた。
 副官に声をかけて、軍から離れて駆けて来た。見事な手綱捌きで劉備の馬の横で止まる。
「殿、ご視察ですか。抜き打ちとは人が悪い」
 兜を脱ぎ脇に抱えて闊達に笑う。後ろで劉備の存在に気付き馬から下りようとしている兵卒達に、馬超は振り返って怒鳴った。
「休むな! 続けてろ!」
 別に構わないでしょう? と振り返った馬超の眼差しが言っていた。劉備は笑って頷いた。
「私も抜き打ちの視察ではない。お前に会いに来ただけだ、孟起」
「ありがとうございます」
 馬がさらに近くに寄ってきた。劉備を見つめる双眸は、初めて会った頃と変わらずに、強い光を帯びている。
「ですが、今日の夜は殿と同衾の約束があります。何も昼に来られなくとも会えましたのに」
「無粋なことを言うな。それとも、お前は私が会いに来て嬉しくなかったのか」
「いえ」
 手綱を握っていた手が伸び、劉備の手を握った。熱い掌だった。強い光が宿った双眼に、ゆらり、と炎が灯される。小さく、劉備は喘いだ。
 まるでその眼差しだけで、己の体は犯されている心地になる。
 馬超の品の良さは、生まれ付いての一族の長となる決め事の過程で身に付いたものだ。しかし時にそれは無理矢理着せられた鎧のようなもので、本来の彼はこの掌のように、この眼差しのように、苛烈で人の心を掴んで離さない荒々しさを持ち、着せられた鎧はそれらを戒めるためのものなのでは。
 劉備は馬超のこの視線を身に浴びるたびに、そう思う。
「夜まで待てなかったと?」
「仕方ないだろう」
 私にとっても、お前はようやく出会えた相手だ。曹操を戒めだ、と言った者は、劉備の周りには自身を除いて初めてだった。
 嬉しかった。
「しかし、今はこれでご辛抱を」
 馬から身を乗り出した馬超に、唇を塞がれた。馬超の背後では一心不乱に隊列を変化させている兵卒達がいて、誰もこちらを気にしている様子はない。
「玄徳殿は、俺の戒めを簡単に解いてしまおうとなさるから、困る」
 離れた唇は弧を描き、低く笑った。
「夜は、覚悟なされよ」
 言って、馬超は手綱を引いて馬首をめぐらせた。
 またそこ、遅れているぞ、と叱咤する声が響く中、劉備は馬超の眼差しの炎が乗り移ったような耳の熱さを、そっと指で撫でていた。



 終





そんなわけで、言い訳タイム(笑)。
まず演戯などでは、曹操が馬超の一族を滅ぼしたから、戦を挑んだ、
ということになっていますが、実は逆だそうです。
馬超が、張魯討伐で関中へ来た曹操へ戦を仕掛けたので、
曹操は都で人質同然になっていた馬超の父親や弟達を処断した、ということだそうです。
この順序、大事だなあ、と思いそこから馬超の人格形成してみました。
人質になっている家族の存在を慮らず戦を仕掛けた結果、馬超は全てを失っていく。
ずっと自分を責めながら、僅かな手勢であちこちを渡り歩き、
そして劉備に出会った……と考えると、うーむ、ばりゅーがまた面白い。
そんな具合で書きました。
曹操に対しては劉備と馬超は意外と似たもの同士だったのかも、という話。
あと、馬超の自称が「私」と「俺」で変化しているのは、わざとです。

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