相変わらず、時節に乗らないサイトです、こんばんは!
表題詐欺みたいな日記はいつものことです、こんばんは(二度目)。
でも、ふた茶の現代版でちょっと小ネタ投下してくる予定です。
いい夫婦……は腐っている界隈では余裕で夫夫ですけども、
むしろ弟→兄クラスタならば、明日こそ本番ではないか、と思いつつ
(いいにいさんのひ)
明日は勤労感謝だよ!
もっとも、このひと月、仕事休ませてもらっている身としては、
働けることって素晴らしいことよね、というか稼げることって素晴らしいわよね、
と実感する日、となりそうですけども。
普段、仕事は重い物を持つこと多いんですけど、
体調を省みて安静にしていたら、
ものの見事に筋力低下ですよ。
体重だけは戻らないんですけど、結局脂肪よりも筋肉落ちたってことですよね。
筋肉って脂肪より重いって本当ですが、ショック!
そんなこんなですが、
来月あたりからぼちぼち仕事が再開する予定です、たぶん。
もう一回だけ頑張ってみて、
それでも駄目だったら、もう良いかなあ、と思ったり。
そんな2013年ももうあと少しですね、ショック!!
原稿は順調です。順調ですが、長くなりすぎている気がして不安。
今回コピー本なので、ちゃんとホチキスで止まる範囲に収めたいのであります。
さて、それではお題にいきます。
今回は徐庶です。
徐庶と劉備です。
え~っと、オリジナル設定ですね。
だいぶ切ない感じになった……ので、言い訳は最後に置いておきます。
気になる方は、折り畳みからご覧下さい。
「徐庶と劉備の場合」
あの人は知らないだろう。
俺が貴方を初めて見かけたとき、貴方は一人で泣いていた。
声を殺して泣く貴方を遠くで見つめ、俺はどうして良いのか分からず、ただ佇んでいたことを、貴方は知らない。
貴方は戦で闘うことを選んだ。
乱れた世へ、闘いを挑んだのだ。
だというのに、貴方の心はとても優しい。
荒れた田畑を眺めては泣き、傷付く者を見ては泣く。
泣くぐらいなら、もうやめればいい。その両手に握った剣を今すぐ捨て、筆でもいい、鍬でもいい。代わりに握ればいいのだ。闘うことをやめれば、泣くことはなくなる。貴方が傷付くことはなくなるのだ。
諭そうと一歩を踏み出した。
まるでそれに気付いたかのように、貴方は伏せていた顔を上げ、袖で頬を拭った。
そうして歩き出した一歩は、力強く、迷いはなかった。
強い人だ。
優しく強い人だ。
俺は貴方の力になりたい。
出来たならば、貴方が傷付く力ではなく、そう、智恵で。
戦の無い世を作りだすための、智恵で、貴方の力になりたい。
貴方が泣かない世を作りたい。
決意してからは早かった。
寝るときですら手放さなかった剣をあっさり捨て、俺は筆を握った。
ひたすら勉学に打ち込みながら、あの人の行方を時折探った。
そうして幾年か経った頃、あの人が荊州の、しかも新野に移り住んだことを知った。
僥倖だ。
就いた師によれば、軍師を探しているという。
あの人の脇には、いつも誇れる武を持つ義弟たちがいたが、彼を智恵で助ける者はいなかった。
俺は自分を売り込んだ。
「単福先生」
昔、罪を犯したせいで正々堂々名乗ることは出来なかったが、ようやく俺はあの人の傍に立つことができた。
「単福先生」
呼ばれるたびにくすぐったかったが、俺はその呼びかけに全力で答えた。
「劉備殿、こたびの戦は」
「ああ、迎え撃たねばなるまいな」
彼の大敵が攻めてきた。私は彼を守るために、智恵を振り絞って戦を勝利に導いた。
そして――
戦は勝利に終わったというのに、劉備は浮かない顔をしていた。みなの前では快勝に喜んでいたが、一人になった途端、あの時と同じように声を殺して泣いていた。
そうだった。
俺はこの涙を見たくなかったから、智恵を得たのではなかったのか。
戦を遠ざけるために、この人の傍に立ちたかったのではなかったのか。
「劉備殿」
あの時とは違い、声をかけられる立場になった俺は、一歩を踏み出した。
「ああ、先生、すみません。見っとも無いところをお見せした」
急いで涙を拭った劉備は、照れ臭そうに笑った。
「貴方は、いつもそうやって泣いているのですね」
「いつも?」
「昔、貴方がまだ義勇軍の長であった頃、戦場でお見かけしたことがありました」
「そうだったのですか。それはまた」
ますます、劉備は恥ずかしそうだった。
「泣くほど辛いのなら、闘うことをやめれば良いのではないですか」
「先生……」
「そう思っていました。でも、貴方はまた歩き出した。そうして今も歩いている。俺は、貴方が泣かない世を作りたい、と勉学に励みました。だというのに、まだ貴方は泣いている。力の足りなさを痛感しています」
「それは、申し訳ない。私のために先生が自分を責めることなどない」
「いいえ。今度は、きちんと誓います。俺のすべてでもって、貴方が優しいままでいられる世を作ります」
「先生」
「徐庶、と。俺の名は、徐庶です」
はい、と頷いた劉備の頬を、残っていた涙の跡を拭うように触れた。
もう俺は、あの頬を拭う距離にもいず、その資格すらない。
母のために、あの人の傍を離れ、別れの際に泣かせもした。
あの人が泣くときに、その涙を隠せる雨にすらなれはしない。
あの人の涙を隠す雨でありたい。
そんな願いさえ聞き遂げられない己の情けなさに、俺は降りしきる雨をぼんやりと眺めた。
おしまい
お題「彼の涙を隠す雨でありたい」より
しまった、思ったより救いが無いかもしれない!
と書き終わったあとに思いました次第。
だって徐庶の離脱ってなかなかハッピーな解釈にできなくてだな。
というわけで、もう1パターン、というか、まったく別の話を同じお題で作ることを決意。
明日また載っけます。
[3回]
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